Selaginella(クラマゴケ)属の栽培に関して

更新日:1月11日


Selaginella nipponica (タチクラマゴケ), 越生町, 埼玉県


Selaginella属は皆さまご存知と思いますので、概要や分類はまたの機会として、ひとまず栽培法に関して、じっくり記載したいと思います。


自生地

まずは自生地を見てみましょう。といっても国内のものなので、あまり興味がない方は読み飛ばしてしまってくださいね。


Selaginella remotifolia (クラマゴケ)伊豆, 静岡



Selaginella uncinata (コンテリクラマゴケ)越生, 埼玉



Selaginella nipponica (タチクラマゴケ) 越生, 埼玉, 厳冬期に霜が降りた様子


上記の感じで、おおよそ温帯に分布するSelaginellaの自生環境を掴んでいただけると幸いです。国産種は結構凍っても大丈夫ですが、外国産種や南方系の種は冬場は霜除か加温するのが無難でしょう。


屋外での栽培


次に、屋外での栽培方法に関してです。

屋外で栽培する対象になるのは、国産種はじめ温帯・地中海に分布する種です。

屋外で栽培する際は、必ず日陰で栽培します。

当方での遮光は、90%遮光のネットを使用し、上面と東・西側に垂らしています。


Selaginella kraussiana 'Sole Green'とS. k. 'Bronsiana'、園芸品種でAzores島が原産。世界中で帰化している。


屋外で栽培する場合は、砂系用土が良いでしょう。

ミズゴケを屋外で使用すると、常に湿った状態になるため傷みが早くなります。

上記画像の2種は屋外で穴を開けた発泡スチロール箱に植え込んであり、棚下で管理しているものです。赤玉と鹿沼の中粒を1:1で混合したもので、通気性を重視しています。



Selaginella apoda


上記画像はプランター用の用土で試験的に植え込んだもの。栄養分がよく含まれている分綺麗に育っています。

このようにもこもこと茂るタイプのSelaginellaは蒸れに弱く、室内での栽培には不向きなことが多いです。

基本的には通気よく、また適度に間引くことが重要です。



Selaginella apoda


こちらは軽石に植え付けたもの。

砂系用土を使用したため繁りすぎず、程よいサイズ感で収まってくれています。

このように茂るとしばらく鑑賞していたくなりますが、要注意。

夏場などは特に蒸れやすく、中心から枯れ込んでしまいます。




Selaginella involvens (カタヒバ)山梨県


上記は屋外でミズゴケ植えのもの。植え付けから2ヶ月ほどでミズゴケ表面が緑色になり始めています。

採取されたばかりのものや、また株分けしてすぐのものなどはミズゴケで養生しますが、半年ほど経過した段階で砂系用土に植え替えを行います。



Selaginella sibirica (エゾノヒモカズラ)北海道


上記は高山植物として知られるエゾノヒモカズラ、暑さに弱いと思われがちですが、実は蒸れに弱いだけです。

砂系の用土に植え付け、風通しの良い場所で乾燥しないよう薄く腰水管理をするとよく育ちます。本種のような高山型のSelaginellaは例外的に日照を好みます。真夏以外はよく日光に当ててやりましょう。



Selaginella sanguinolenta var. compressa (ヒメタチハリガネカズラ) 韓国/中国?


上記は”ハリガネカズラ”として古くから山野草として親しまれる小型のSelaginellaです。

本種も蒸れに弱いため、砂系用土で風通しよく育てます。

屋内栽培も可能ですが、その場合は光を強めに当てる必要があります。

この仲間では珍しく乾燥に強いものです。日陰で育てると青々と伸び伸びと、気持ちよく育ちます。反対に、日向で育てると引き締まってワイルドに育ちます。




Selaginella martensii

Selaginella sp. China


上記二つは陶器鉢に植え込んだもの。あまり日が経っていないですが、ミズゴケを使用し山状に盛り上げて植え付けてあります。

これらも風通しの良い日陰で栽培します。



Selaginella biformis (イヌカタヒバ) 沖縄本島


上記はイヌカタヒバ。国内の自生地では絶滅が危惧されていますが、帰化している地域ではたくさん生えているものです。

本種は直射日光を当てて栽培すると赤く染まり美しいものです。

また寒さ暑さに強く、肥料分を少なめに栽培すると小さいまま栽培でき、盆栽の下草として人気が高いです。



以上、屋外での栽培例です。

これらに共通するのは、風通しです。屋外で栽培する際は案外湿度は問題ないようです。

またカタヒバ型に成長する種は地下茎が生きていれば問題はなく、順化に失敗しても比較的楽に復活します。


屋内での栽培


屋内での栽培、こちらの方が本題かもしれません。

こちらに関しては栽培法がほとんど共通していますので、まずは一通り栽培例を載せておきます。



Selaginella sp. Sabah

MalaysiaはSabahより導入された大型のSelaginella。草体が大きく、また硬質で、折れやすいため扱いに注意が必要。


Selaginella sp. Sabah

こちらも上記と同じルートで導入されたもの。熱帯性の種類にしては珍しく、部屋の湿度で密閉せずに栽培できたもの。


Selaginella sp. Sabah

こちらも同じルート。草姿がまるで異なります。

大型に育つもので、こちらは湿度が高くないと萎れてしまいます。


Selaginella erythrops

園芸用に東南アジアで生産されたもの。これは葉が落ちてしまった茎を置いておいたものから発芽しています。葉の裏側が真っ赤に染まる、中南米原産の種です。


Selaginella sp. Nanga pinoh TB

TB便で導入されたNanga pinoh産の大型のSelaginella。

栽培は容易ですが、光加減が難しい。


Selaginella boninensis 母島

日本では小笠原に固有のSelaginella。この個体はヤドクガエル用ケージに植え付けて2ヶ月、成長が始まりました。


Selaginella delicatula Philippines

タイで生産されているもの。S. sp.として販売されていたものの、S. delicatulaであるとのこと。屋外で栽培するほど強くはないが、湿度が高すぎると草姿が乱れる厄介者。



Selaginella sp. Malalo

もこもこと育つSelaginella。可愛らしいが、環境が合わないとみるみる溶ける。



Selaginella sp. Yakkala, Sri Lanka

Sri Lanka産の珍しいSelaginella。非常に美しく青光りします。



Selaginella sp. New Caledonia

ニューカレドニアの非常に美しいSelaginella。私的には最高峰だと思います。

屋外でも栽培できますが、屋内でやや光が弱い場所で育てると非常に美しい。


ひとまずは以上。

屋内で栽培する際のポイントは、”湿度”と”光”です。

当方では1000〜1800ルクス程度の白色LEDで栽培しています。

湿度に関しては80%を下回らないように。これ以下に下がる場合はゆっくりと順化させてください。

用土は基本的にはミズゴケを使用し、常に湿った状態を維持すると良いです。

草姿が乱れ、間延びしてしまう場合は、①湿度を下げる、②光を強くする、のいずれかで対処しましょう。



とりあえずはここまで。

近日中に細かく追記したり手直ししたり画像を追加したりします。


※この記事はあくまで当方の栽培環境を説明したものであり、Selaginellaを美しく育てる点はこの限りではありません。




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